2025年9月1日、EmEditorのブログにEmEditorの紹介記事が掲載されました。この記事はLevtech Labのウェブサイトで公開され、父の跡を継ぐ息子という視点から始まり、インタビュー形式でEmEditorの開発の歴史を紹介しています。私はGemini 2.5 Proを使い、日本語から中国語に翻訳しました。EmEditorの中国語ユーザーの皆さんも、ぜひご覧ください。
参照元:家業「テキストエディタ」。EmEditor開発者は、息子の決意を初めて聞く【フォーカス】 | レバテックラボ(レバテックLAB)
2025年9月1日

江村 豊 (Emurasoft, Inc. 代表)
兵庫県出身。筑波大学研究所工学研究科で修士課程を修了。Intel Japanを経て、1994年に汎用通信ソフト「EmTerm」を開発。1995年8月にM-Soft有限会社を設立。1997年からテキストエディタ「EmEditor」の開発を開始。2000年にアメリカ・ワシントン州レッドモンド市にEmurasoft社を設立し、2001年に現地に移住。
江村 誠 (Emurasoft, Inc. エンジニア)
日本生まれ、5歳でアメリカに移住。豊さんの長男。十代でゲームを通じてプログラミングに興味を持つ。2018年、アメリカのベルビュー大学で情報工学の学士号を取得し、Emurasoft社にアルバイトとして入社。2022年に卒業後、同社のフルタイム社員となる。
「EmEditor」というテキストエディタは、1997年のリリース以来、世界中で広く使われています。共有ソフト版や無料版も提供されており、特徴は自由に拡張できる構文ハイライト機能やCSV編集機能、最大約16TB(1.09兆行)の大きなファイルをスムーズに開ける高性能です。
開発元はアメリカ・ワシントン州のEmurasoft社で、20年以上にわたってほぼ一人でこのソフトを開発してきた江村豊さんが代表を務めています。2018年、同社に転機が訪れました。豊さんの長男、誠さんが第二のエンジニアとして会社に加わったのです。アメリカで情報工学を学んだ誠さんは、開発プロセスの自動化、Git統合機能の実装、OpenAIなどのAPIとの連携によるAIアシスタント機能の開発を担当し、エディタの近代化を推進しました。
伝統工芸や老舗のレストランのように、親子で同じ仕事をするケースは珍しくないかもしれませんが、「父親が個人でソフトウェアを開発し、息子もその開発に加わる」というケースは、かなり稀であると言えるでしょう。
誠さんはどのような経緯でEmEditorの開発に参加したのでしょうか?興味を持ち、インタビューをお願いしたところ、豊さんから返事がありました。「誠はほとんど英語しか話せません。もし私一人でも大丈夫なら、来週日本に行く予定なのでインタビューを受けることができます」とのことでした。
世代間で異なる技術背景。同じ職業、同じソフトウェア。親子間で「技術の継承」がどのように行われているのか、そしてEmEditorの未来はどうなるのでしょうか。
- 父親の視点1:自然に生まれた役割分担
- 父親の視点2:親子関係がもたらす「心理的安全」
- 父親の視点3:何も強制しない
- 息子の視点1:父の背中を見て
- 息子の視点2:EmEditorを最高のテキストエディタとして続けていく
- 親子の視点:尊敬から生まれる温かな誤解
父親の視点1:自然に生まれた役割分担
――今日はよろしくお願いします。EmEditorと言えば、非常に多機能なソフトウェアで、特に大きなファイルを高速で開ける点が長年高く評価されています。その点については、やはりこだわりをお持ちですか?
江村 豊: はい、大きなファイルを簡単に開けることは、EmEditorの大きなこだわりの一つです。
最初にEmEditorを開発した1990年代後半、当時のエディタは多くが、Windowsに標準で付いている「メモ帳」のように「立ち上がりが速いけれど機能が少ない」か、あるいは「機能が多いけれど重たい」というものでした。どちらも、大きなファイルを開く時には、開けないか、開けたとしても動作が非常に遅くなることが多かったんです。
それで私は思いました、「誰も開発していないなら、自分で大きなファイルを開けるエディタを作ろう」と。それが現在の形に徐々に進化しました。ただし、開けることができても、検索に数分かかるようでは仕事には使えないので、検索の性能にも非常にこだわり、大きなファイルの中から素早く文字列を見つけられるようにしています。
また、CSVファイルの編集機能にも力を入れています。何百万行、何千万行ものCSVデータを扱う仕事は多くの企業で行われていますが、Excelでは開くことさえ困難です。最近では、「EmEditorを解決策として使っている」と言っていただけるユーザーが増えており、とても嬉しく感じています。


▲EmEditorの動作イメージ(CSVファイルは総務省『男女別人口-全国、都道府県(大正9年~平成27年)』から)
――このような性能へのこだわりは、開発に加わった誠さんにも伝わっているのでしょうか?
江村 豊: 言葉で「こうしなさい」とはあまり言わないのですが、彼は私が書いた技術記事を読んでいるようですし、開発の中で、気づかぬうちに伝わっているのだと思います。
また、開発の哲学が少し違っていても、現在のところ問題はないと思います。
――それはどういうことですか?
江村 豊: 私と誠の開発スタイルは、ちょうど補完し合う関係だからです。
私はどちらかと言えば、CやC++などの伝統的な言語を扱う人間です。性能を追求する低レベルな領域は得意ですが、最近のトレンドにはあまり詳しくありません。
一方、誠は新しい技術に非常に詳しいです。Javaはもちろん、GoやTypeScriptなどの現代的な言語も得意ですし、Gitによるバージョン管理やAI関連技術についても私よりかなり詳しいです。
その結果、私たちの開発の役割分担は自然に生まれました。大きなファイルの処理や検索など、C++で書かれたエディタのコア部分は私が担当し、誠はその周辺部分を担当しています。
たとえば、ユーザー向け機能であるワードカウントのプラグインやAI統合機能などです。開発の裏側では、DevOps環境の構築も行っています。誠が加わった後、彼の提案でCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)を導入し、大きな変化がありました。
それまでは、ビルドやテストの多くが手作業で行われ、私もよくバージョン番号を間違えたり、アップデートを忘れたりしていました。しかし、誠が作ったパイプラインを使うことで、ビルドからリリースまで完全に自動化され、人為的なミスがなくなりました。その結果、毎回のリリースの安定性が大きく向上し、ソフトウェアの堅牢性も強化されました。